概算見積は、「◯万円〜◯万円」と幅で示し、前提条件を添え、確定見積とは別物だと明記するのが基本です。ぴったりの金額を出そうとすると、ヒアリングが終わるまで返信が止まります。幅で早めに返せば、相手は予算感を判断でき、連絡が途切れにくくなります。
なお、概算を出す早さと成約率の関係について、公的な統計は見つかっていません。この記事は実務での考え方の整理で、成果を保証するものではありません。
概算を早く返したほうがよい理由
問い合わせをした人は、複数の会社に連絡していることがあります。「いくらくらいかかるか」がわからないまま待たされると、先に目安を返した会社のほうに話が進みやすくなります。
一方で、情報が少ない段階で一つの金額を言うと、あとで金額が変わったときに「話が違う」となりがちです。そこで、幅で示すのが現実的です。
幅の作り方
幅は、過去の案件をもとに、自社の「軽い場合」と「重い場合」を決めて作ります。
- 過去の案件を、種類ごとに分ける(例:コーポレートサイト、ランディングページ、更新機能つき)
- 種類ごとに、実際にかかった金額の下限と上限を出す
- 金額が大きく変わる要因を3つまで書き出す(ページ数、原稿の有無、機能の数など)
- 下限は「要因が軽い場合」、上限は「要因が重い場合」と決める
幅が広すぎると、相手は判断できません。上限が下限の2倍を大きく超えるなら、種類をさらに分けるか、先に1〜2点だけ質問します。
前提条件を一緒に書く
幅には、必ず前提を添えます。前提がないと、幅そのものが誤解のもとになります。
- 想定しているページ数や機能
- 含めていないもの(原稿・写真の用意、公開後の運用など)
- 金額が上のほうになる条件
5ページ程度のコーポレートサイトで、原稿と写真をご用意いただく場合の目安は、◯万円〜◯万円です。ページ数が増える場合や、予約機能などを付ける場合は、上のほうになります。
確定見積との違いを伝える
概算は、あくまで目安です。メールには次の3点を入れます。
- 概算であり、確定の金額ではないこと
- 確定には、内容の確認(打合せ)が必要なこと
- 確定見積を出すまでのおおまかな日数
上記は現時点の情報にもとづく概算です。正式なお見積は、30分ほどお話をうかがったうえで、◯営業日以内にお出しします。◯月◯日と◯月◯日はいかがでしょうか。
次の一手(打合せの日程候補)を最後に置くと、相手は返信しやすくなります。
金額を変えるときの伝え方
確定見積の段階で、概算の幅を外れることもあります。そのときは、何が変わったから金額が変わったのかを一文で説明します。
概算では原稿をご用意いただく前提でしたが、文章作成も含めるご希望と確認できたため、上限を超える金額になりました。
理由が前提条件に紐づいていれば、相手は納得しやすくなります。最初に前提を書いておくことが、ここで効いてきます。逆に、理由の説明なしに幅を超える金額を出すと、信頼を損なうおそれがあります。
運用のコツ:幅の表を1枚つくっておく
毎回ゼロから考えると、結局返信が遅れます。次のような表を1枚つくり、社内で共有しておくと、誰でも同じ幅で返せます。
| 種類 | 幅の目安 | 上がる条件 |
|---|---|---|
| コーポレートサイト(5ページ) | ◯万〜◯万円 | ページ追加、機能追加 |
| ランディングページ | ◯万〜◯万円 | 原稿作成、撮影 |
| 更新機能つき | ◯万〜◯万円 | 会員機能、外部連携 |
数字は自社の実績で埋めます。半年に一度、実際の金額とのずれを見直すと、幅の精度が上がります。
よくある失敗と防ぎ方
概算でつまずきやすい点は、次の3つです。
- 下限だけが相手の記憶に残る:幅のうち安いほうだけが頭に残ることがあります。上がる条件を、必ず同じ文の中に書きます。
- 前提を口頭だけで伝える:電話で話した内容は、あとで食い違いやすくなります。メールにも文字で残します。
- 概算のまま話が進む:契約の前に、必ず確定見積を出し、内容に合意をもらいます。
どれも特別な道具は要りません。返信のテンプレートに、前提・上がる条件・確定見積の予定の3行を入れておくだけで防げます。
概算を出さないほうがよい場面
次のような場合は、無理に金額を言わず、先に質問します。
- 何を作りたいのか、目的がまだ見えない
- 既存システムとの連携など、見ないとわからない要素が大きい
その場合も、「◯日までに質問をまとめてお送りします」と返信の予定を伝えます。何も返さないより、ずっと印象が違います。
まとめ
概算は、過去の案件から「軽い場合・重い場合」の幅を作っておき、前提条件と確定見積との違いを添えて返します。まず、自社のよくある案件を1種類選び、下限と上限を書き出してみてください。
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