失注理由の記録は、「選ぶだけ」の3択にして、月に1回だけ数えると続きます。詳しい反省文は要りません。目的は、事務所の改善点を1つ見つけることです。
なお、この記事は実務でよく使われる作り方の一例で、公的な基準があるものではありません。事務所の件数や業務に合わせて調整してください。
失注の記録が続かない理由
失注とは、問い合わせや見積のあと、契約にならなかったことです。記録が続かない原因は、だいたい次の3つです。
- 理由を文章で書こうとして、手間がかかる
- 本当の理由が分からないので、書く内容に迷う
- 書いても、あとで見返す場面がない
そこで、選択式にする、分からなければ「不明」にする、月1回見る日を決める。この3つで解決します。
理由は3択にする
最初は次の3つで足ります。
| 区分 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 条件が合わなかった | 費用・時期・対応範囲が合わなかった | 費用が予算を超えた、依頼したい時期が先だった |
| 他に決まった | 他の事務所や、社内対応を選んだ | 相見積もりで別の事務所に決まった |
| 連絡が途絶えた | 返事がなくなった | 見積後に返信が来ない |
「不明」が増えるのは自然なことです。無理に聞き出さず、そのままにして構いません。
スプレッドシートの1列で足りる
問い合わせの管理表がすでにあれば、列を1つ足すだけです。
- ステータスが「終了」になったら、失注理由の列を開く
- プルダウン(選択肢の一覧)で3択から選ぶ
- 気づいたことがあれば、メモ列に一言だけ書く
記入例:失注理由=条件が合わなかった/メモ=費用の説明は丁寧だったが、予算は半分だった
メモは書かなくても構いません。選ぶだけで1件10秒で済みます。
月に1回、5分で数える
月末か月初に、5分だけ時間を取ります。やることは数えるだけです。
- その月に終了した件数を数える
- 3択それぞれの件数を数える
- いちばん多かった区分を見る
見たあとの考え方の一例です。
- 条件が合わなかったが多い:問い合わせの最初に、費用の目安や対応範囲を案内できているか見直す
- 他に決まったが多い:返信の速さや、次の一手の示し方を見直す
- 連絡が途絶えたが多い:見積後の連絡の間隔を決めて、決まった日に連絡する
件数が少ないうちは、傾向と言い切れません。数か月分をためて、「そうかもしれない」程度に使うのが安全です。
3択を選ぶときの迷いどころ
実際に選ぼうとすると、迷う場面があります。次のように決めておくと、人によるばらつきが減ります。
- 費用と他社の両方が理由のとき:相手が口にした理由を優先する。他社名が出ていれば「他に決まった」、費用の話だけなら「条件が合わなかった」
- 一度断られたが、後日また連絡が来たとき:前の件は終了のままにして、新しい行を足す
- 相手から断りの連絡が来たが、理由が書かれていないとき:「不明」にして、メモに「断りの連絡あり」とだけ書く
ルールは、事務所の中で1つに決めてあれば十分です。正しい分類を探すより、毎回同じ基準で選ぶほうが、数えたときに意味を持ちます。
断られたあとの一通を送る
失注が決まったら、お礼の一通を送っておくと、後日の再相談につながることがあります。理由を問いただす必要はありません。
◯◯様 このたびは、ご相談いただきありがとうございました。今回はご縁がありませんでしたが、今後また必要になった際は、いつでもご連絡ください。◯◯事務所 ◯◯
短くて構いません。アンケートのように理由を聞くと、負担に感じる人もいます。分かる範囲の記録で十分です。
所員が複数いるときの運用
所員が複数いる場合は、入力する人を決めておきます。担当した人が自分で選ぶのが、いちばん手間がありません。
- 担当者が、ステータスを「終了」にするときに、失注理由も選ぶ
- 月1回の集計は、所長か、決まった1人が行う
- 集計の結果は、朝礼などで1分だけ共有する
共有の場では、個人を責めずに、「次の月に何を1つ変えるか」だけを決めます。
続けるための小さな工夫
表を開くたびに目に入る場所に、3択の意味を書いたメモを置いておくと、迷う時間が減ります。月1回の集計日は、カレンダーに繰り返しの予定として入れておくと、忘れにくくなります。最初の3か月は、件数が少なくても気にせず、記録を続けることだけを目標にしてください。
記録でやってはいけないこと
- 相手の人柄や、印象を書かない。事実だけを記録する
- 書き込む情報は最小限にする。個人情報の取り扱いは、事務所の規程に従う
- 理由を自分で決めつけない。確かでなければ「不明」にする
まとめ
失注理由は、3択のプルダウン1列と、月1回5分の集計で十分です。まず今日、管理表に「失注理由」の列を1つ足してください。
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