相見積もりの提案書で差がつきやすいのは、要件をどう理解したかを自分の言葉で示すこと、進め方を日付つきで見せること、誰が担当するかを書くことの3点です。金額の比較になりやすい場面だからこそ、金額以外に「この会社なら任せられる」と思える材料が要ります。
ただし、提案書の中身と受注率の関係を示す公的な統計はありません。ここで書くのは、制作の現場で使いやすい運用上の考え方です。成果を保証するものではありません。
要件の理解を、相手の言葉で書き直す
提案書の最初のページに、相手の依頼をこちらの言葉で言い直して書きます。ヒアリングで聞いたことを、そのまま並べるのでなく、「何のために」「誰に向けて」「何を変えたいか」の3つに整理します。
たとえば、次のような書き方です(架空の例です)。
「ご依頼の背景:現在のサイトからの問い合わせが少なく、採用応募を増やしたい。主な閲覧者は20〜30代の求職者。今回の目的は、仕事内容が伝わるページ構成に作り直すこと」
相手がこれを読んで「そうそう、それ」と思えれば、理解してもらえたという印象になります。違っていれば、提案書の段階で直せます。
注意点は2つです。
- 聞いていないことを、想像で断定しない。分からない点は「確認させてください」として別に書く
- 相手の会社の悪い点を指摘する書き方は避ける
進め方を日付つきで見せる
他社の提案書と並べられたとき、進め方が具体的だと比べやすく、安心感につながります。工程名だけでなく、いつ・何を・誰がを書きます。
- 打合せ(要件の確認):契約後1週間以内
- 構成案の提出:打合せの翌週
- デザイン案の確認:修正は2回まで
- 制作・テスト:確認の連絡が遅れた場合の扱いも書く
- 公開と、公開後の確認
日付は「◯月◯日」と決め打ちにするか、「契約後◯週間」と相対で書きます。相手側にお願いする作業(原稿や写真の提供など)も、この表に入れておくと、遅れやすい箇所が共有できます。
体制と連絡の窓口を書く
制作会社を選ぶときに、相手が不安に感じやすいのは「誰が作るのか」「困ったとき誰に連絡するのか」です。次の項目を書いておきます。
- 窓口の担当者名と、連絡手段(メール・チャットなど)
- 返信の目安(たとえば「営業日の翌日中に一次返信」など、守れる範囲で)
- 外部の協力者がいる場合、その旨
- 担当者が不在のときの代役
守れない約束は書かないでください。返信の目安は、実際に回せる範囲より少し余裕を持たせます。
範囲と金額の書き方で迷わせない
金額だけの比較になりやすいのは、何が含まれているのか分かりにくいときです。含むもの・含まないものを分けて書きます。
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 含むもの | ページ数、修正回数、スマホ対応、公開作業 |
| 含まないもの | 原稿作成、写真撮影、公開後の更新作業 |
| 別途になる場合 | 範囲が増えたとき、仕様が変わったとき |
低い金額の会社と並べられたときは、値引きで対抗するより、範囲の違いを丁寧に示すほうが、後のトラブルを避けられます。
質問への答え方も比べられている
提案書を出したあと、相手から質問が来ることがあります。このときの返信の速さと分かりやすさも、比べられる材料になります。
質問への返信は、次の順で書くと伝わりやすくなります。
- 質問に対する答えを、最初の1〜2行で書く
- 理由や前提を、短く添える
- 範囲や金額が変わる場合は、変わる点と理由を明記する
- 必要なら、次の打合せ日程の候補を示す
たとえば、修正回数を聞かれた場合の返信は、次のようになります(架空の例です)。
「修正は、デザイン案の確認で2回まで含んでいます。3回目以降は、内容に応じて別途のご相談になります。範囲を変えずに進める方法もご案内できますので、ご希望があればお知らせください」
答えにくい質問が来たときも、返信を止めないでください。「確認して◯日までに回答します」とだけでも、先に返しておきます。
提案書を見直すときのチェック
出す前に、次の5点を見直します。
- 1ページ目に、相手の依頼の言い直しがあるか
- 進め方に、日付と担当が書いてあるか
- 含むもの・含まないものが分かれているか
- 窓口と返信の目安が書いてあるか
- 守れない約束や、成果を保証する言い方がないか
提出して終わりにしない
提案書は、送ったあとの動きまで含めて提案です。送付メールに、次の2つを添えます。
「提案書をお送りします。ご不明な点があれば、◯月◯日までにご連絡ください。ご質問の受付と、30分ほどの説明の時間をご用意できます。◯月◯日(◯)と◯日(◯)が空いています」
そのうえで、提出から数日後に一度、こちらから連絡します。連絡の間隔は、事前に相手に伝えておくと押しつけに見えにくくなります。
まとめ
相見積もりの提案書は、①要件を相手の言葉で言い直す、②進め方を日付つきで見せる、③体制と窓口を書く、の3点を意識すると、金額以外で比べてもらいやすくなります。
次にやることは1つです。直近の提案書の1ページ目を、「何のために・誰に向けて・何を変えたいか」の3行に書き直してみてください。
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