問い合わせの取りこぼしは、①返信の遅れ、②夜間・休日の空白、③追客がない、④管理が頭の中にある、⑤失注の記録がないの5つに分けると、直す場所が見つかります。腕や価格の問題ではなく、仕組みの穴であることが多いです。
なお、取りこぼしの割合について、士業向けの公的な統計は見つかっていません。この記事は、実務でよく起きる流れを整理した一般的な考え方で、数字の裏づけがあるものではありません。ご自身の事務所の件数で確かめてください。
原因1:返信が遅れる
忙しい時期は、面談や書類作成が優先されて、問い合わせの返信が後回しになります。問い合わせた人は、同じ内容を複数の事務所に送っていることがあります。先に返信が来たところと話が進みやすい、というのは実務上よくある話です。
直し方は、本返信の前に「受け取りました」を返すことです。
- フォームに自動返信を設定する(受付日時、いつまでに誰が連絡するか)
- 本返信は「翌営業日の午前中」のように、守れる時間を決める
- 本返信が書けないときは、「確認中です。◯日までにご連絡します」の一言だけ先に送る
◯◯様 お問い合わせありがとうございます。◯◯事務所です。 内容を確認しており、◯月◯日の午前中までに詳しくご連絡します。
原因2:夜間・休日の空白
夜や休日に問い合わせる人は、日中は仕事をしている人です。その時間帯の問い合わせが、翌営業日まで放置されると、相手の熱が冷めます。
直し方は、自動返信で受付を伝え、翌朝一番に誰が見るかを決めることです。
- 自動返信に「営業時間外のため、◯曜日の午前中にご連絡します」と書く
- 翌朝の最初の仕事を「問い合わせメールの確認」に固定する
- 見る担当を1人決め、不在の日の代役も決める
当番の名前がないと、全員が「誰かが見ているはず」と思って、誰も見ない状態になります。
原因3:追客がない
初回の返信をして、面談の日程が決まらないまま、そのままになる。これは取りこぼしの中でも多い形です。相手が断ったのではなく、忙しくて返事を忘れているだけのこともあります。
直し方は、追いかける日と回数をあらかじめ決めることです。
- 返信から3日後に、日程の候補を添えて1回目の確認をする
- 7日後に、相手の状況を気づかう形で2回目を送る
- 14日後に、「ご都合のよいときにお声がけください」と伝えて終わる
回数を決めておくと、しつこくなりすぎず、放置もしません。
◯◯様 先日はお問い合わせありがとうございました。ご都合がつくようでしたら、下記の日程でお話しできればと思います。 ・◯月◯日(◯)◯時 ・◯月◯日(◯)◯時 難しい場合は、そのままお知らせください。
原因4:管理が頭の中にある
「あの件は、たしか返信済みだったはず」という記憶に頼ると、忙しい週に必ず漏れが出ます。所長1人の事務所でも、所員が数人いる事務所でも同じです。
直し方は、1件1行の表を作ることです。高機能なシステムは要りません。スプレッドシートで十分です。
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 受付日 | 問い合わせが来た日 |
| 相手 | 名前または屋号 |
| 内容 | 一行で |
| 状態 | 未返信/返信済み/面談待ち/提案中/終了 |
| 次にやること | 内容と日付 |
毎朝、「次にやること」の日付が今日以前の行を見るだけで、漏れの多くは防げます。個人情報を入れるので、閲覧できる人を限り、共有の範囲に気をつけてください。
原因5:失注の記録がない
断られた、連絡が途絶えた。そのとき理由を残していないと、同じ失敗を繰り返します。
直し方は、終了した案件に、理由を1つだけ選んで記録することです。
- 価格
- 時期(今は必要ない)
- 他の事務所に決めた
- 連絡が途絶えた
月に1回、この4つの件数を眺めます。「連絡が途絶えた」が多ければ原因3、「他の事務所に決めた」が多ければ原因1と原因2を疑います。件数が少ないうちは、傾向というより参考程度に見てください。
自分の事務所でどこが一番弱いかを知る
5つ全部を一度に直す必要はありません。最近の問い合わせ10件を思い出して、次の質問に答えてみてください。
- 返信まで丸1日以上かかった件は何件あるか
- 夜間・休日に届いた件は、いつ返信したか
- 面談に進まず止まっている件は、何件あるか
一番数が多いところから直します。
まとめ
取りこぼしの原因は、返信の遅れ、夜間・休日の空白、追客なし、頭の中の管理、失注の記録なしの5つです。まず、最近の問い合わせ10件を表にして、どこで止まっているかを確かめてください。
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士業は、所属する会ごとに広告や勧誘のルールが異なります。追客の文面にサービスの案内を足すときは、所属の会の規程を確認してください。